今回紹介する商品である、AMSTEEL-BLUEはアメリカのロープ製造メーカーであるSAMSON ROPE社が開発した船舶係留設備用の強靭なダイニーマロープです。
目次
AMSTEEL-BLUE
AMSTEEL-BLUEはSAMSON ROPE社独自のサムセインと呼ばれるコーティングで保護したダイニーマ繊維を編んだ作られたロープで、コアを持たない単層構造でシングルブレイドロープなどとも呼ばれ、強度とねじれに優れています。
その強さはISO 2307強度認定で7/64in(2.5mm)は730kgの力に耐え、OCIMF(石油会社国際海洋フォーラム)の石油タンカーやターミナルの安全を指標しているMEG4(係留設備ガイドライン)に基づき様々な機関や海洋関連会社が性能を認めています。
名称はBLUEですが、全7色リリースされており、今回SLOPERSではシルバー7/64in(2.5mm)のみの入荷となります。
AMSTEEL-BLUEの強さ
前述の通り、7/64は730kgの力に耐えますが、これは同じ太さの鋼鉄ワイヤー以上の強度。その細さと質感から見るととても信じられませんが、軽量さと扱いやすさから主に船の係留に使われることからも強さは実証済みです。
AMSTEEL-BLUEの提案
通常このような細いロープ(=細引き)は中心に芯であるコアを持ち、周りの他のナイロン皮膜を持つのが普通ですが、AMSTEEL-BLUEはコアを持たないシングル構造であり繊維そのものを編んで作ってあります。
このシングルロープの特性に着目して以下の自作改造を行うことにより様々な用途が生まれます。
ウーピースリング
ウーピースリングとは編みの内部に自分自身を通し、荷重をかけると発生する編みの締め付けと繊維の摩擦を利用して自在のように長さを調整する改造を施したロープ。
常設を除き、アウトドアで使用するハンモックは当たり前ながら脱着前提。
通常は木に巻いたウェービングテープなどを介して、カラビナ→本体ロープと接続しますが、高さが稼げないケースやロープや本体の伸縮により、本体ロープのテンションを変更出来るように設置します。
この場合のテンション変更方法は多種多様で器具を使うものから結びで解決など様々ですが、ウーピースリングはそのどちらにも当てはまらない近年メジャーな方法。
メーカーからも各種ウーピースリングを利用したハンモック固定調整製品が販売されています。
ソフトシャックル
カラビナ代わりに脱着を可能とした固定アイテムとしての改造
こちらもハンモックと接続する場合に使用したりしますが、強固なアクセサリーカラビナとしての使用も可能です。
但し、荷重がかかってないと外れる可能性があるので常に荷重がかかるような箇所への使用を推奨します。
自作の前提
どのようなロープでもシングルブレイドであればこれらの改造が可能そうではありますが、実際はどうでしょうか。
ウーピースリングやソフトシャックルにするには
- シングルブレイドであること
- 強靭であること
- 荷重をかけた場合の伸びが少ないこと
- 荷重をかけてない場合の摩擦が少ないこと
- 屋外での使用前提なので紫外線に強いこと
- 水分を含んでも伸びや性能劣化がないこと
であることが必要ですが、これらの条件を満たしたものは実質表面コーティングしたダイニーマしかなく、正にAMSTEEL-BLUEがピッタリであることが分かると思います。
AMSTEEL-BLUEの切断
これらの加工は動画検索すれば簡単に作り方がヒットしますし、慣れれば5分ほどで自作可能です。
必要なのは細い針金とシャーペンのみなのですが、困ったことに切断には非常に苦労するでしょう。
SLOPERSでも様々なカッターやナイフなどで試しましたが、唯一綺麗に切断できたのは以前紹介したセラムのセラミックナイフのみ。
いくらセラムが切れ味の良いナイフだと言ってもこの結果には驚きました。
簡単に結果を考察すると金属の刃はセラミック刃と比べて「柔らかく、粘り」があるのでダイニーマの強さに負けてしまうのではないかと思われます。
結果の総評ではカッター、はさみでは綺麗な切断はほぼほぼ不可能。クニペックスなどの工具でも切断は無理でナイフ系は何とかOK。ベストはセラミックナイフということになります。
余談として、ホットナイフでの切断は無論可能ですが、熱で端が硬くなると編みに通す時に引っかかり、作業が難航します。
仕上げで端をまとめるのは有効ですが、自作の切断目的では使用できないと思って良いでしょう。
このようにハンモックを中心とした様々な用途に使える優れた道具として是非お買い求めのうえ、自作に挑戦してみてください。
ご希望の方は店頭にてウーピースリングの自作方法を指南します。
また、今後AMSTEEL-BLUE以外のより細いサイズ、カラーの入荷を予定しています。