今回はちょっと珍しいマイルストーンLEDッドランプを3種類ご紹介。
マイルストーンと言われても聞き慣れない方が多いと思います。
ヘッドランプと言えば海外ブランドの2大巨頭、ペツルとブラックダイヤモンドが有名ですが、こちらマイルストーンは日本ブランドです。
形は海外ブランドヘッドランプと似てますが、マイルストーンならではの機能に注目です。
目次
ヘッドランプ(明かり)は超重要で最優先アイテム
そもそもヘッドランプはさほど重要視されてないように思えます。
昔、仕事仲間で沢登りをした時も店長がしつこいほどヘッドランプを用意と言ったにも関わらず用意してこないメンバーがいました。
そして、そういう時に限って悪いことは起きるもの。何とルートが分からなくなり、遭難しそうになったのです。
道楽者の店長がGPSを所有していた事と、「遭難しそうになったら尾根に登る」の鉄則通り(この時沢を引き返そうと言ったメンバーもいました)、何とか尾根に出て事なきを得ましたが、辺りはすっかり真っ暗。
ヘッドランプを持ってこなかったメンバーを囲んで下山した経験があります。
もしこの時、尾根に登る前に日が落ち、彼1人だったら?
朝までじっとしている精神力があれば助かるかもしれませんが、恐らくはパニックとなり、手探りで辺りを徘徊し、遭難、滑落と最悪死が待っています。
防災用品で最も重要なのは水だというのは誰もが分かっていると思いますが、もし夜中に地震が起きたら?周り全てが停電となって瓦礫を闇で乗り越えられますか?
常に何かしらの明かりがある現代では想像しにくいかもしれませんが、夜中に全ての明かりが消えたら本当に真っ暗です。1m先どころか10cm先ですら全く見えません。
最も恐ろしいのは所有していないことではなく、その時にならないと重要性が分からないことだと思います。
追記:この記事の後、北海道地震でブラックアウトが発生し、前述を証明する結果となってしまいました。
というわけで、アウトドアアクティビティにおいてヘッドランプはまず真っ先に用意してください。テントやマット・寝袋よりも優先順位は上です。
さて、そんな重要アイテムであるヘッドライトですが、多種多様なヘッドライトの中、マイルストーンをおすすめする独自機能について説明します。
MS-B4,B5,B6の共通機能
ロック機能
ロック機能は電源が簡単にON/OFF出来ないようにする機能で、メイン、サブボタンどちらかの長押しでロック機能をON/OFFします。
長押しで電源ON/OFFではなく、ロック機能のON/OFFです。
以前、店長はキャンプ出発前のヘッドランプ収納時に誤ってボタンを押してしまい、現地にて点灯しなくなったことがあります。
幸い、他の灯器が嫌という程あるのでさほど困りはしませんでしたが、前述通り、もし登山だったら?など想像したくもありません。
地味ですが非常に重要な機能だと思います。
電球色LED搭載220ルーメン
一昔前では考えられない光量で、正に技術の進歩のおかげ。220ルーメンあれば夜間トレールランニングでも全く問題ないです。
LEDヘッドランプは白色が多く、この色を嫌い、昔ながらのフィラメント式ヘッドライトを愛用する方もいるようですが、マイルストーンヘッドランプはフィラメント色、つまり電球色(オレンジに近い色)に対応しています。
広角白色LED搭載
電球色だけと思いきや、白色LEDも搭載してます。但し、最大光量の220ルーメンではなく、数十ルーメン程度の広角なLEDなので近くのものを見るのに適しています。
しかし、実はこれがスポット的な光ではなく、広範囲で一定な明るさなので実に見易いです。これだけでも宣伝する価値があると思います。
ディミングメモリー機能
外国ブランドヘッドランプは光量調整で小、中、大など出来るものが多いですが、マイルストーンは10%~100%と無段階調光可能でさらにその状態を記憶できます。
調光は電球色、白色共に可能です。
変則的なバンド固定
ヘッドバンドの固定バックルにはあちこちに割が入っており、バンドの取り外しや、縦方向への取り付けが可能
この機能により、例えば自転車のハンドルバーなどへの取付も可能になります。
個別の機能
MS-B4
共通機能に加え、赤色LEDを搭載しており、更にその赤色LEDもディミングメモリー機能を搭載してます。
用途は登山、キャンプなどあらゆるシーンでの使用に適しており、マイルストーンのベーシックモデルと言えますね。
MS-B5
共通機能に加え、センサーを搭載しており、ヘッドランプ付近に手をかざすとライトのON/OFFが可能です。
そんなのいる?と思うかもしれませんが、これすっごく便利です。
例えばテントの上部にランタン代わりにMS-B5を吊るします。貴方は寝ててテント内は真っ暗です。さて、トイレに行きたくなりました。
普通のヘッドランプなら手を伸ばしカチカチと電源ONですが、MS-B5なら手をかざすだけで電源ONです。
更には冬などで手袋を使用している時にも便利でしょう。
他にもキャンプ中などでは手元を照らすたびにしょっちゅうヘッドランプをON/OFFします。
OFFはまだしもONのまま気付かずに同行メンバーを照らしてしまい迷惑をかけることがよくありますが、この場合、両手がふさがってたりしても手を頭にもっていくだけでOFF出来たり、そもそもOFFまでの時間が手探りでスイッチをOFFするよりも遥かに早いです。
実際、キャンプに行かないとこの感覚は中々理解してもらえないかもしれませんが、一度体験するともう他のヘッドランプには戻れないでしょう。
ちなみにセンサーはマニュアルを見る限りは赤外線センサー(未確認)のようですが、壁などにも反応するので両手が塞がっていても頭を何かに近づけるだけで点灯します。
MS-B6
共通機能に加え、何とセンサーにより近距離では白色LED、遠距離を照らす場合は電球色LEDに自動調光します。
ヘッドランプはどのようなケースでも明るければ明るい方が良いというのは間違いで、例えば屋外でも太陽が照りつける日向で本を読むよりも、日陰の方が読みやすいですよね。
これと同じで、例えば洞窟の中や、釣り、他の手元をよく見る作業、屋外と室内を行ったり来たりするようなケースなどでの使用に適しています。
MS-B5、MS-B6ともにセンサーのON、OFFが可能なので常につけっぱなしという使い方ももちろんできます。
微妙な所
緊急時に重宝しそうな点滅機能がありません。
点滅機能は複数人で登山する時にリーダーがバックパックにヘッドライトを取り付けて後続が見失わないようにしたり、遭難時に見つけてもらいやすかったりします。
使用機会は極端に少なそうですが、やはりあると安心なので、点滅機能を重視する方は素直に他のモデルを選ぶとよいでしょう。
それとデザインに関してはやはり海外ブランドが一歩リードかなという気がします。
ただ、よくよく考えるとヘッドランプにそこまでデザインって必要ですかね。使ってる時には自分からは一切見えませんが(笑)。
電池の持ちについて
LEDの変換効率
まず、ヘッドランプに限らず光を発する「ライト(日本語では明かり)」という概念を説明すると、電気を可視光域の電磁波に変換するものを一般に「ライト」と呼びます。
この時に変換効率というものがあり、100%の電気を100%の明かりに変換出来れば良いのですが、それは不可能で大抵のライトは100%より遥かに劣る変換効率でしかありません。
昔からある白熱電球は約10%の変換効率で、蛍光灯は20%前後、LEDは30%~50%と言われています。
これが、LEDが省エネと呼ばれている理由で、LEDは何がいいのか?と問われれば電気から光への変換効率が高いと覚えておいてください。
変換出来なかった電気は可視光ではなく、赤外線や紫外線、その他のロスにより主に熱となって放出されます。
白熱電球に触るとアチッ!となりますよね。あれは可視光に変換しきれなかった赤外線が蓄熱したもので、この熱エネルギーに変換された電気エネルギーを「ジュール熱」と言います。この「ジュール熱」を最大限利用したのがご存知電気ストーブです。
LEDは赤外線や紫外線を含まないのでその分変換効率が高いとも言えますね。
ちなみにLEDでも熱くはなりますが、これは赤外線の熱ではなくチップ上でのジュール熱だと言われています。白熱電球が全体で放熱するのに対し、基盤で放熱するLEDは冷却面で白熱電球より劣ります。
つまり、熱を持たないLEDのはずが、実は白熱電球よりも熱を持ちやすく、放熱に気をつけないと壊れやすいのは変な話ですね。
LEDの電気変換効率は2018年現在で言うと180ルーメン/W~200ルーメン/Wで2025年辺りで限界値250ルーメン/Wに達する予定だそうです。
2025年以降は余程の技術ブレークスルーが無い限り、「他社比20%明るい」などという宣伝は一切なくなるでしょう。
各社持続時間の違い
言うまでもなく各社ヘッドランプメーカーは自前でLEDを作るまでの技術はなく、専門メーカーなどからLEDそのものを入手しますが、これが世界で数えても数社しかありません。
つまりどういうことかというと、同じ価格帯、同じ年代においてLEDの変換効率は各社ほぼ同じだということです。
え?いや、いや、現在でも他のライトは確実に200ルーメンで100時間持つよ!というケースもあるかもしれませんが、バッテリーの電圧と容量の関係でその様になっているだけで、同じ単4電池3本での使用においては各社明るさや持続力を平均化すると殆ど同じになるはずです(運用面での使いやすさは別な話)。
ところで、外国ブランドヘッドランプはとんでもないランタイムを明記していたりします。
例えば単4電池3本で200ルーメン60時間とかホントに?という感じですが、当然ながら若干誤解を与える記載で、実際はそのような性能はありません。
例えば200ルーメン60時間などは、「電源ONしたら200ルーメン出るが、徐々に暗くなって完全に消えるまでは60時間」という意味で200ルーメンを60時間持続する訳ではありません。
一社が飛び抜けてとんでもない性能を発揮することはまず有り得ないのです。
・・・とはいうものの自分で書いててもちょっと不安なので実験してみました。
電球色と白色だと写真での比較が極めて難しくて誤解を与える恐れがある為、あえて写真無しで結果のみ記述します。
外国ブランドモデル名PT(仮名) | マイルストーンMS-B4 | |
カタログ値最大光量 | 200ルーメン | 220ルーメン |
照射時間 | 自称60H | 実用時間3.5H |
なんと比較対象のPT(仮)はMS-B4より17倍も電池が持つそうです。やはり信じられません。
実験前準備
- MS-B4は最大光量220ルーメンなので比較対象PTのヘッドライトの最大光量と同じ位になるように調整し記憶
- 電池はエネループを一旦放電したあと完全充電したものを使用。
- エネループは仕様1.2V 750mAhだが購入後10年は経過してるので劣化を考えて500mAhとする。使い捨てアルカリ乾電池は1.5V 900mAhなので、それぞれ0.6Wと1.35Wとなり、電力は公式測定基準のアルカリ乾電池の方が2倍以上多くなります。よって、両者ともに使用時間は半分以下に落ちる。
- 光量は壁に当てて目視での感覚値とする
- 電球色はLEDの仕様により白色より1割ほど光量が落ちる傾向があるが、あえて同じ明るさでの実験とした。
実験結果
点灯後の光量低下は以下の通り
両者ともに4時間を過ぎた辺りから大幅に光量が落ち、10時間後では何とか自分の足元が見えるという感じでした。
20時間経過後はMS-B4は点いているのがギリギリ分かり、PTは点いているのがはっきり分かる光量でした。とはいってもこの光量では紙に何が書いてあるか読める程度の明るさです。
ほぼ消灯したMS-B4ですが、電源を再度OFF→ONすると何と光量が復活。数分しか持ちませんでしたが十分な明るさを得られ、更に数回光量を復活させることが出来ました。
PTの方は再点灯しても明るさは変わらず。
この結果から以下のような考察ができます
- 両者共に実用的な明るさは連続4時間程度
- PTは低い電圧でも昇圧させることはせず、使い物にならなくてもとにかく点灯時間を優先する。
- MS-B4は低い電圧でも昇圧させ、使い物になる光量を優先する。よって光量を優先し、点灯時間は犠牲にする設計。
というわけで60時間持つはずのPTですが、やはり想像通り、「スイッチを押してから消えるまでの時間」が60時間であり、決して200ルーメンが60時間続く訳ではないことが分かりました。もう少し分かりやすくスペック記載してほしいですね。
マイルストーンの方は
メインLED実用点灯 約45時間(10%)
メインLED実用点灯 約3.5時間(100%)
サブLED実用点灯 約20時間
と、かなり実際の運用に近い正直な記載となっていて好感が持てますね。
どれを選ぶか?
どれを選べばいいか非常に迷います。
店長はキャンプサイトの使い勝手を考慮してMS-B5を選びますが、最低限でよければMS-B4でもいいですね。
何より赤LEDはMS-B4のみの機能ですし、コストパフォーマンスに優れています。
MS-B6はどちらかというと特殊用途で調光を頻繁に行いたい方用だと思います。
MS-B4 | MS-B5 | MS-B6 | |
カラー | TB ティールブルー | RP ロイヤルパープル | GY グラスイエロー |
LED | メイン:ナチュラルウォームカラー | メイン:ナチュラルウォームカラー | メイン:ナチュラルウォームカラー |
サブ:レッド&クールホワイト | サブ:クールホワイト | サブ:クールホワイト | |
明るさ | 約 220ルーメン | 約 220ルーメン | 約 220ルーメン |
使用電池 | 単4形アルカリ乾電池×3本(電池付属) | 単4形アルカリ乾電池×3本(電池付属) | 単4形アルカリ乾電池×3本(電池付属) |
電池寿命 | 約 45時間(10%時) | 約 45時間(10%時) | 約 45時間(10%時) |
防水機能 | IPX 5(防噴流形) | IPX 5(防噴流形) | IPX 5(防噴流形) |
照射距離 | 約 70m | 約 70m | 約 70m |
本体サイズ | 約 幅60×高さ45×奥行35mm | 約 幅60×高さ45×奥行35mm | 約 幅60×高さ45×奥行35mm |
本体質量 | 約 41g(本体のみ)/ 約 97g(電池込み) | 約 41g(本体のみ)/ 約 97g(電池込み) | 約 41g(本体のみ)/ 約 97g(電池込み) |
付属品 | 単4形アルカリ乾電池×3本 | 単4形アルカリ乾電池×3本 | 単4形アルカリ乾電池×3本 |
特徴 | 無段階照度調節機能 | モーションセンサー機能 | 距離センサー機能 |
ディミングメモリー機能 | 無段階照度調節機能 | 無段階照度調節機能 | |
ワイド照射(約120°) | ディミングメモリー機能 | ディミングメモリー機能 | |
耐衝撃性硬質ラバーボディー | ワイド照射(約120°) | ワイド照射(約120°) | |
耐衝撃性硬質ラバーボディー | 耐衝撃性硬質ラバーボディー | ||
価格(税込) | ¥4,104 | ¥4,860 | ¥4,860 |