MSRの点火装置ピエゾイグナイターの紹介です。
ライターなの?と思いきや火花を飛ばすだけの製品で、いうなれば電子式の「火打ち石」と言えるでしょう。
店長はこの製品の存在を知った時に「なるほど!」と思ったものです。まさかイグナイターだけを製品にするとは「コロンブスの卵」的発想で関心しました。
イグナイターとは
イグナイターとは簡単に言うと電子式100円ライターに装備されている「カチッ」というアレです。
ピエゾとは力を電圧に変換する圧電素子の事で、力で縮められたバネを一気に開放することで強い力を電圧に変換して火花が飛ぶ仕組みです。
電子式100円ライターを押すと抵抗がありますよね?あれがバネが縮んでいる時の抵抗で、MAXまでバネを縮めるとロックが外れ、バネの反力で仕込まれたハンマーが圧電素子を強く押します。
電気はプラスとマイナスがないと流れないので圧電素子から飛んだ火花は近くの電気を通す抵抗が少ないアースに向かって飛びます。雷とかと一緒で、この火花を利用してライターなどは点火出来るわけです。
余談ですが圧電素子は水晶などで出来ていることがあり、この水晶は叩くと電気が発生し、電気を通すと振動(力を放出)します。
この振動は一定で正確なので時計の一秒を得るためにこの原理が利用されます。
つまり流通量99%以上のクォーツ(水晶)時計の事で、イグナイターと時計は力と電気の関係が逆なだけで心臓部の仕組みはほぼ同じ。面白いですね。
ピエゾイグナイターを使う利点
まず製品寿命が長く、燃料を必要としません。
通常点火と言えばライターやスライドガストーチを使用してそれが当たり前だと思っていたのですが、肝心な所で燃料切れし、点火するためのライターなのに、そのライターの点火に苦労するという笑い話みたいな事が何度かありました。
しかし、ピエゾイグナイターならば燃料は不要なうえ、確かに火が付きやすい物が近くにあれば必要なのは一瞬の火花のみで安定した火はそこまで必要じゃありません。
火花口がスイッチから離れていて親指で押せるというのが使いやすい。
高所で点かない?
富士山山頂でライターやコンロを使おうとしたら火が点かなかった、という話はよく聞かれます。
イグナイターは高所には弱い傾向にあるのか?
ネットで調べるといくつかの記事で高所ではイグナイターから火花が飛ばないとありますが本当でしょうか。
高所でコンロやライターが点火しないのは事実みたいですが、イグナイターから火花が飛ばないというのは圧電素子の原理を知れば胡散臭い話です。
それとは逆にシュッと点けるフリント式のライターは高所でも問題なく点火するとも言われます。
フリント式とイグナイター式の違いを考えてみるとフリント式は複数の火花がバチバチと発生し、イグナイターは一瞬の火花が一発発生するのみ。
火花の量と時間で明らかにフリント式の方が勝っています。
この事実を考慮するとイグナイターでは火花が飛ばないということではなく、高所での酸素量低下によりコンロやストーブの燃料に点火するまでに時間がかかるか、火花が燃料に着火する確率が低くなるのではないかと考えました。
再度色々調べた所、あっさり正解を発見。想像通りで安心しました(笑)。
ということで高所でイグナイターが点かないというのは不正解で、高所では点火するまである程度の時間と量の火花を必要とする、というのが正しい解釈です。
点火の様子
動画のように若干火花の当たる方向に気をつけなければならないものの、結果は良好です。
何より燃料いらずなのは魅力的ですね。コンロやストーブのお供に如何でしょうか。